外貌醜状

1.外貌醜状とは

外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)とは,文字通り「外貌」に「醜状」が残ってしまった場合の後遺障害をいいます。「外貌」とは,頭や顔,首など日常的に人の目に触れる部分のうち腕や足以外の部分,つまり,手足以外で人目に触れる部位のことをさします。そして,「醜状」とは,人目につく程度以上の瘢痕(火傷の傷跡など)や線状痕(線状の傷跡)などの傷痕が残ることをいいます。

このような状態が残ってしまった場合,精神的な苦痛に加えて,普段の仕事にも影響が出ることが考えられます。そこで,日常的に人目に触れる部位に,人目につく程度以上の傷痕が残ってしまった場合には,外貌醜状という後遺障害を認定し,その精神的な苦痛(後遺障害慰謝料)や,将来発生すると考えられる収入の減少(逸失利益)について損害賠償が認められることになります。

では,外貌醜状の場合,後遺障害慰謝料はいくらもらえるのでしょうか。この点について詳しく説明していきます。

2.外貌醜状が残ってしまった場合の損害額

外貌醜状が残ってしまった場合の,後遺障害慰謝料や逸失利益は,どの後遺障害等級が認定されるかによって変わってきます。外貌醜状では,残ってしまった醜状によって3つの等級が設けられており,それぞれの裁判所基準(裁判をしたならば認められる基準)と逸失利益の算出に用いられる労働能力喪失期間はつぎのようになります。なお,外貌醜状の労働能力喪失率に関しては,実際の仕事に対する影響は職種や外貌の具体的状況によって異なるため,以下に記載の数字(%)と実際の事案は大きく異なることがあります。

外貌醜状の後遺障害等級と後遺症慰謝料,労働能力喪失率の目安
後遺障害等級 後遺症慰謝料 労働能力喪失率
7級12号 1000万円 56%
9級16号 690万円 35%
12級14号 290万円 14%

では,「どのような醜状」が,「どの等級に該当」するのでしょうか?つぎは,この点についてご説明いたします。

3.外貌醜状で認定される後遺障害等級とその詳細

外貌醜状の後遺障害等級は,上肢(手や腕)や下肢(足)以外の日常的に露出する部分(頭部,顔,首)に人目につく程度以上の醜状が残った場合に認定される可能性があります(眉毛,頭髪などに隠れる部分は,醜状として取り扱われません)。そして,認定される等級は,残ってしまった醜状の大きさなどによって区別され,基準は下記のとおりとなります。

外貌醜状の後遺障害等級と認定されるための要件
(いずれも「人目につく程度以上のもの」であることが必要です)
後遺障害等級 認定要件 詳細
7級12号 外貌に著しい醜状を残すもの (1)頭部に残った手の平大(指の部分は含まない)以上の瘢痕または頭蓋骨の手の平大以上の欠損
(2)顔面部に残った鶏卵大以上の瘢痕または10円硬貨大以上の組織陥没
(3)頸部に残った手の平大以上の瘢痕
9級16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの (1)顔面部に残った長さ5センチメートル以上の線状痕
12級14号 外貌に醜状を残すもの (1)頭部に残った鶏卵大以上の瘢痕または頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損
(2)顔面部に残った10円硬貨以上の瘢痕または長さ3センチメートル以上の線状痕
(3)頸部に残った鶏卵大以上の瘢痕

4.外貌醜状の具体的な認定について

(1)傷痕の位置が「頭部」の場合

頭部の傷痕については,手の平大以上の瘢痕は7級12号に該当する可能性があります。頭蓋骨に手の平大以上の欠損がある場合も7級12号に該当する可能性があります。

瘢痕があっても,手の平大に満たない場合で鶏卵大以上の瘢痕については,12級14号に該当する可能性があります。頭蓋骨に欠損がある場合で,欠損が手の平大に満たなくとも,鶏卵大以上であれば,12級14号に該当する可能性があります。

(2)傷痕の位置が「顔面部」の場合

顔面部に残ってしまった傷痕の場合,それが鶏卵大以上の大きさの瘢痕であれば,7級12号に該当する可能性があります。また,傷痕が組織陥没である場合,その大きさが10円硬貨大より大きければ,7級12号に該当する可能性があります。

顔面部に線状痕が残った場合,線状痕の長さが5センチメートル以上であれば,9級16号に該当する可能性があります。

顔面部への傷痕が瘢痕であれば,瘢痕の大きさが鶏卵大以上のときは12級14号に該当し,線状痕で長さ5センチメートルに満たず,長さ3センチメートルを越えていれば,12級14号に該当する可能性があります。

(3)傷痕の位置が「頸部」の場合

頸部への傷痕については,その傷が,手の平大以上の瘢痕であれば,7級12号に該当する可能性があります。その傷が手の平大以上の大きさでない場合でも,鶏卵大以上の大きさであれば,12級14号に該当する可能性があります。

(4)男女の違いによる振り分け

改正後の等級表では男女の区別によって等級を分けることはしていません。したがって,男女の別を問わず,外貌の傷痕については上記の等級認定表に基づいて等級が判断されることになります。

5.等級の該当可能性の判断は弁護士にご相談を

顔面部などに傷跡が残ってしまった場合(外貌醜状)や,上肢(手や腕)や下肢(足)に傷跡が残ってしまった場合などに,後遺障害が等級認定されるかについては,上記以外にも考慮すべき要素や基準がございます。顔だけにとどまらず,体に傷痕が残ってしまった場合には,一度,当事務所までご相談ください。弁護士が等級認定表の該当可能性を適切に判断いたします。その際には,傷痕の部位や大きさを正確に測定した資料や診断書などがあると,より正確なご案内が可能となります。

6.請求できるのは後遺障害慰謝料だけではない

外貌醜状が残ってしまった場合,保険会社の担当者から「外貌醜状については慰謝料しか支払いません。」,「外貌醜状について逸失利益は認められません。」などと言われることがありますが,これをそのまま鵜呑みにしてはいけません。

確かに,判例の中には逸失利益を否定した事例も存在します。しかし,一方で外貌醜状の場合でも,逸失利益が認められた裁判例や,逸失利益分を慰謝料に加味して判断した裁判例も多数存在します。ですから,外貌醜状だからといって,逸失利益がまったく認められないものではありません。醜状の部位・程度,被害者の年齢・性別・職業その他のさまざまな要素を考慮して逸失利益が認められないかを検討し,仮に認められるとしたら,その金額はいくらが妥当なのかを慎重に判断する必要があります。

保険会社の話をそのまま鵜呑みにして,損害項目に逸失利益が一切含まれていない免責証書にサインをしてしまうと,本来もらえたはずの逸失利益がもらえなくなってしまいます。

7.外貌醜状の場合は等級認定表どおりの労働能力喪失率にならない?

後遺症が残ってしまった場合,裁判所は原則として労働能力喪失率表に定められた労働能力喪失率を目安に,逸失利益を算定している場合が多いと思われます。しかし,外貌醜状の場合は,労働能力喪失率表に定められた労働能力喪失率にしたがって逸失利益を算定しないことがあります。労働能力喪失率表で定められた労働能力喪失率を大幅に下回る場合や,外貌醜状が仕事に与える影響を認めず,逸失利益を認めないこともあるのです。

また,保険会社も外貌醜状の場合には逸失利益を認めないという主張を行ってくることがあるため,外貌醜状が今後の仕事に具体的にどのように影響しうるのかといった点をしっかり主張していくことが重要となってきます。当事務所でご依頼をいただいた案件の中でも以下のような事案がありました。

解決事例 男性の外貌醜状12級14号の場合

はじめに加害者の保険会社から提示された賠償額では,外貌醜状による逸失利益は「0円」で計算されていました。当事務所にご依頼をいただいたのち,当事務所では依頼者の職業や具体的な症状に着目し,外貌醜状が具体的にどのような点で仕事に影響を与えるのかという点を慎重に検討し,その影響について一つひとつ保険会社に主張していきました。

その結果,保険会社は労働能力喪失率5%,労働能力喪失年数10年を認め,この点についての逸失利益を加算した賠償額を提示してきました。このように,一般的には認められにくい男性の外貌醜状のケースでも,具体的にその影響などを主張していくことにより,保険会社から逸失利益を含んだ提示を引き出すことに成功しています。

この事例のほかにも,これまでに当事務所では外貌醜状の事案について複数のご依頼をいただいており,交通事故前の顔の写真と事故後の顔の写真を対比させながら個別具体的に主張するなどして,さまざまな手法での交渉経験を蓄積してまいりました。

このような外貌醜状に関する知見や交渉経験の蓄積が,相談者の方の外貌醜状に関する逸失利益を獲得する可能性を高めるものと考えております。

「外貌醜状だから…」ということだけで逸失利益の獲得をあきらめず,弁護士にご相談することをおすすめします。逸失利益の賠償をあきらめるのは,弁護士に相談してからでも遅くはないでしょう。

8.逸失利益の判断は交通事故の経験豊富な弁護士へ

外貌醜状に関する「逸失利益」については,裁判例でも傷痕の位置や程度,症状固定時の年齢・職業等,他に残存した後遺症の影響等を総合的に考慮して判断しているため,明確な基準があるわけではありません。したがって,外貌醜状について逸失利益が認められるか否かは,とても難しい判断になりますので,交通事故事件の経験豊富な弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

当事務所では,交通事故事件の経験豊富な弁護士による相談を無料で受けることができますので,まずはご相談いただければと思います。


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